崩壊寸前マリオネット
私の名前は。苗字などとおの昔に抹消された
生まれた日 そんなものそもそも知らない
齢 確か18
性別 女
職業 護衛兼殺人人形
これが私に対する"私"という与えられた記憶でありデータである
そして私の主人だと主張していた天人は今目の前にいる男に切られ、血の海に沈むただの肉塊と化している
本来ならば私はこの主人を守らなければならなかった
しかしそれはできなかった……
「よぉ……大切な主人を殺された気分はどうだ女」
そう、この男に私は負けたのだ
対峙した瞬間この男の強さは判った
それでも私の頭の中に"負ける"というデータは一切入ってこなかった
でも結果はこれだ……私は足の腱を切られ動くことが出来なくなってしまったのだ
痛みはもとからあまり感じない
いや、もしかしたらそう改造されたのかもしれない
「おい、あまりのショックで声も出ねぇってか?」
独り考えていたのに上からごちゃごちゃ言われるのは癪に障る
「勘違いするな。それにコイツが死んだところで何か感じるわけない」
「ほお」
すると男はこちらへ一歩近づいた
すると、月光に照らされて今まで見えなかった男の顔とあいつの返り血が照らしだされた
「私はただそいつに言われて事をしていただけだ。そこに私の意志など皆無だ」
私は奴の目を睨みつけながら言った
そして数秒の沈黙の後に男が口を開く
「おい女、お前は何だ?」
その隻眼で奴は私を見下ろす
「私は殺人人形。そう言われてきた。だからそれ以上でもそれ以下でもない」
しかしそれは先ほどまでの話
「こうしてお前に敗れるまではな」
「なら殺人人形とやら、お前の名前は?」
名前――それは私の中にある数少ない記憶。そしてデータ
「」
「。俺は高杉…高杉晋助だ」
そう自らを名乗ると、くっくっくっと笑った奴はまた一歩私に近づき立ち上がれずうずくまっている私と目線を合わせた
「、俺と来い。共にこの腐った世界をぶち壊そうじゃねぇか」
何を言っているんだこの男は……
「自分を押し殺すのはもうやめろ。そして……歓喜しろ」
「……それはどういう意味だ?」
すると奴はまた笑った
「そんまんまだ。俺について来い。そうすれば否でもわかる」
そして奴は…高杉という男は私に手を差し出した
よく分からない、わからないけど私は気付けばその手を握り返していた
――せよ!
私の中で何かが叫びだす
高杉はそのまま私を抱き上げると月夜へ向って歩き出す
歓喜せよ!
さしずめ私は……
崩壊寸前マリオネット
数年後、攘夷志士高杉と共にその名を世に轟かせる女が一人
その姿を見た者は皆こう言った
『まるで自由を手にした獣の様だ』と
けれどそれはまた別の話である
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆あとがき☆゜・*:.。.☆゜・*:.。.☆
物凄く忙しいときに物凄く書きたくなった高杉夢!
いつUPしようかな〜っと思っていた時に素敵な企画サイト様を発見したので思わず投稿
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08.01.27