闇の中で2つの目がパッと開く。 瞳からは涙が止まることなく流れていた。 その涙が悲しみからなのか、それとも安心感からなのかはわからなかった。 「早く火影様の所へ行かないと……」 ―**--**--**--**--**--**--**--**--**― 「火影様!!」 今が真夜中だというのも忘れは大声で叫んだ。 「どうしたのじゃ、そんなに慌ておって」 椅子に座っている火影は言葉とは裏腹に落ち着いていた。 恐らくがここに来るのが報告されていたのだろう。 その推測が正しい事は、彼が誰にも止められずここまで来れたことが証明していた。 は部屋に入ってきた勢いのまま火影の元まで駆けよった。 「早く!早くしないと母さんっ母さんが!!」 「思い出したのか……」 そう小さく呟くと火影は首を横に振り言う。 「しかし今日はもう無理じゃ… 明日の朝一で連れて行ってやろう」 火影の言っている事は正しかった。 時は既に深夜。 この様な闇夜を一般人であるを連れて行くのは賢いとは言えない。 もそれがわかったのだろう。 静かに頷き家へと帰る為に背を向けた。 「急ぐ気持ちもわかるが今は体を休めるのじゃぞ」 「はい……」 その声と共に扉は閉まり、再び静寂が訪れた。 ―**--**--**--**--**--**--**--**--**― は夜道を一人歩いていた。 火影にはああ言ったが、恐らく彼女の言う通り母さんはもう息絶えているだろう。 本当は3日程で帰るつもりだった。けれど予期せぬ事が続き結果的に3ヶ月もの間木の葉に留まってしまった。 思い出すのは弱りきった母。病は医者にも原因不明と言われ匙を投げられた。 そして木の葉にいる医師ならば治せるかもしれない。と言われオレはここまで来た。 でも母さんを死なせようとしたのがオレの意思?本当に? 解らないワカラナイ…… けれどさっきよりは冷静に考えられる。 それはきっと彼女がいてくれただからだろう。 火影亭からの家まではわりと近いため、ゆっくりと帰っても20分ほどで着いてしまった。 部屋に入るなりベッドの中へ潜りこみ目を閉じる。 今は何一つ考えずに眠りたかったのだ。 ―**--**--**--**--**--**--**--**--**― 朝の6時過ぎ、は自然に目を覚ました。 ゆったりと身体を起こし、のろのろとした足取りで仕度を始める。 それは何年も寝たきりの様な動かし辛さだった。 精神的な疲れも身体に影響を与えるということをこの歳で知ってしまった。 (朝一に連れて行くって言ってたからそろそろだと思うんだけど……) 身体は起きているが頭は未だにハッキリせず、顔を洗ってはみたもののそれは変わらない。 そこへ窓の側に1羽の鳥がやってきた。何やら足には紙がくくりつけてある。 は窓を開け、その紙を鳥から取った。 それは火影からの連絡で内容は簡潔に―7時に迎えに行く―と書いてあった。 時計を見るとあと15分程だった。 (荷物の準備しないとな) が仕度を終えるのと迎えが来たのはほぼ同時だった。 ―**--**--**--**--**--**--**--**--**― 迎えの忍に連れられて数時間前と同じくは火影亭へ着いた。 「火影様、を連れて参りました」 「うむ。 入ってきなさい」 はゆっくりと扉を開け、その後に忍も続けて入る。 「おはようございます、火影様」 「おはよう、よく眠れたかのう」 「複雑な感じです」 火影の問いかけには力なく笑った。 「そうか……」 そう火影は目を伏せて呟く。 そこへ4人の忍がの前に現れた。内一人はをここまで連れてきた人物だった。 「火影様、臨時小隊の準備が完了いたしました」 「ごくろう、これよりの案内の元、一連の事件について調査してくるのだ」 「はっ!!」 火影の指令に忍達は気を引き締めた 「さあ、行っておいで」 「……行ってきます」 そして物語は進んでいく――― 偽りの焔の物語が…… BACK 09.05.05加筆 |