時計の話
前回と同じような手順で訪れた俺を待っていたのは、優雅にお茶を飲むだった。 「5日ぶりだな幸村精市」 「え…あ、はい。次の日は検査で、それから4日間は天気悪かったので」 まさか数えていたなんて……ちょっと驚いた。 「いつまでぼさっとしている。早く座れ。お茶が冷める」 俺は急かされるまま席についた。 「ところでどうして5日ぶりだとわかったんですか?ここには時間が分かる物はないんですよね?」 部屋の窓から見える外も一種のはりぼてだというのはこの間判明したし…… 「お前が時間時間と煩いのでな、ほら私の後ろを見ろ」 視線を移すとの後ろに振り子のついた大きな壁掛け時計があった。 「あんなこの前ありましたか?」 「ない。だから新しく作った」 「へぇ……ってあんなの作れるものなんですか」 「ここは私の空間だからな。この空間で私の思い通りにならないことは何一つない」 相変らず人形のエンプティーに表情はないが、その声はちょっと誇らしそうだった。 「それってもしかして」 「そう、これでわざわざ我に時を聞かなくてもいいわけだ」 「あ、そうですか」 てっきり俺のために作ってくれたと思ったのになあ…… まあ自分が動きたくなくて人形つくるくらいだから仕方ないのか。 そして少し腑に落ちない気分で俺はお茶をすするのだった。 |
12.02.25