「今のが本当にオレがここへ来た理由……」 ええそうよ。と少女の声がへと降ってくる。 「じゃあっじゃあオレの! オレの母さんは !?」 「死んだでしょうね」 あっさりと、そして無機質に告げられるその言葉に頭の中が真っ白になった。 「ふざけるな !!」 は立ち上がり少女の胸元に掴みかかった。 「何でもっと早く言わなかった !! 知っていたんだろう !! どうしてだ !!」 「決まっているじゃない。それが必要だったからよ」 そう叫びながら強く少女を揺さぶる。 その乱暴な行為に彼女は何一つこぼしはしない。 「必要 !? 人の死がどうして必要になる !!」 「貴方が望んでいるからよ」 あくまで冷静に…いや無機質に言葉を紡ぐ。 「そんな訳あるか !! なんでオレが母さんの死を望まないといけないんだ !!」 「何を言っているの? 今の貴方に残っている記憶はほんの一部なのよ?」 ここで初めて少女の目がを鋭く見据えた。 それは興奮状態であった彼を一瞬にして震え上がらせる程冷たく力強く何より恐ろしかった。 そして彼女を掴んでいた腕が力なく落ちていく。 手を爪が食い込むまで握り締める。 「何で…何でオレがこんな事に遭わなきゃいけないんだよっ」 行き場のない怒りに声は震えるばかりだった。 そんなの頬にひんやりとした手が添えられる。 「この悲しみは一時的なものよ。 いづれ全てが解るわ」 その声には僅かに顔をあげる。 「本当に?」 「えぇ、だから今は生きることを考えなさい。 この木の葉でどう信用されるかが大切よ」 「でもどうやって……」 先ほどとは打って変わって縋るようには少女を見つめる。 それに応えるかの様に優しく彼女は頬を撫でる。 「簡単よ。 さっき視たものをそのまま話せばいいの」 大丈夫、貴方ならできるわ。と囁く一音一音がまるで子守唄の様に彼の脳を全身を包み込む。 「いい? まず起きたらこの事を火影に伝えなさい」 ゆっくりと瞼が落ちていく。 「頑張ってね……」 最後に見たのは悲しそうな少女の微笑だった。 「知らないという事はそれだけで幸せ……いっそこのまま……」 呟いた声は誰に聴こえることもなく白の空間に溶けていった。 09.02.22 |