〜一筋の光〜Him Side〜
少女が泣き叫び出した為一先ずルヴァイド様のテントへ戻ったはいいが・・・
少女のあの怯え様はいったい・・・
「心配か、あの少女のことが」
はっと我に返る
「なぜそう思うのですか」
「あの時珍しくお前が食い下がったんでな」
「なっ何を仰るのですか!僕はただっ」
「ただ何だ?」
僕はあの後何と言おうと思ったんだ?
彼女が目覚めたのを見て内心はかなり安心していた
それと同時にあれほどに避けられてかなりショックを受けたのもまた同じ
この感情は果たして本当に「心配」なのだろうか・・・
何か違う気がする
そう、もっと深くもっと重く・・・まるで押しつぶされそうな感情
「いえ、やはり何でもありません」
「本当か?」
「本当です」
「本当にか?」
「本当にです」
「将、少女カラ話ヲ聞イテキマシタ」
「よし、入れ」
「それで「それで彼女は大丈夫なのか!」
「うっ・・・」
気づいた時にはもう遅かった
そちらを見ると案の定ニヤリと笑っていた
「やはり心配なんじゃないか」
あぁもう本当にこの人はっ
「素直に心配だと言えばいいものを」
「ルヴァイド様!」
駄目だ・・・完全に遊ばれている
「それで少女の様子はどうなんだ」
空気が一瞬にして緊張感のあるものに変わった
この辺りは流石である
「少女ノ名ハトイウラシイ」
・・・それが彼女の名か・・・
「ソレト一応確認シテミタガ、マズ「名もなき世界」ノ住人デ間違イナイダロウ」
「分かった」
彼女が名もなき世界の住人・・・
「今は落ち着いているのか?」
「大分ナ」
まだ若干行きづらいが仕方がない
「ルヴァイド様」
そう言ってそちらを見るとルヴァイド様は静かに頷いた
「あぁ様子を見に行ってくるといい。
それと彼女にこれからの事を考えるように言っておいてくれ。答えがでるまで滞在を許可する。と」
「分かりました」
彼女の元へ行こうとテントを出ようとしたときだった
「イオス」
「何ですか?」
「また泣かせるんじゃないぞ」
「っまたとは何ですか!!」
「マッタクダナ」
「ゼルフィルドまで・・・」
はぁ、まったく
なんだか虚しくなってきた・・・
一気に足どりが重くなった気がする
あの時一瞬見た彼女の瞳
戸惑い、恐怖、拒絶、それらが入り混じった様な瞳だった
なんて話せばいいだろうか
あの状態だと、もしも口を滑らせて言ってしまった言葉がどんな影響を与えてしまうか・・・
足を止めた、もう着いてしまったか
考え事をしてるとあっという間だな
再びさっきの様になったらどうしようか、という思考が頭をよぎる
まずは彼女と話さなければ
「ちょっといいかい?」
「ゼルフィルドから聞いた、君の名前はでいいのかい?」
突然名前で呼ぶのもどうかと思ったので、一先ず確認してみた
「はい、そうですけど」
「そういうあなたはイオスさんでよろしいんですよね」
かなり警戒した声が返ってきた
信用できるかって感じだな
「あぁ、それと僕の事はイオスで構わない、気が向いたらでいいが」
僕はいったい何を言っているのだろう
「あと、そう警戒しなくてもいいだろう?要は僕がこの中に入らなければいいのだろう?」
「なぜ私が警戒していると分かったんです?」
さっきよりも口調は穏やかだった
何故って、あれだけ人のことを避ければ・・・と言いたい所だが、ここは我慢しなければ
「そんな敵意の篭った口調なら誰だって分かるさ」
以外と抜けているのだろうか?
「ところでイオスさん、私に何か用ですか?」
すっかり忘れていた
「君はこれからどうするつもりだい?」
「えっ・・・?」
戸惑いが感じられた
無理もないか・・・突然違う世界に来てしまったのだから
「結論的に言うと、君は恐らく元の世界には帰れないと思う・・・」
こんな事を言ってしまって良かったのだろうか?
もしもまた泣き出してしまったら・・・
「別にいいわ!あんなとこ居たくもない!!」
考えていた内容とは間逆の返答だったから少し驚いた
「そうかならいいんだが・・・」
無闇に聞くのは良くないだろう
「じゃぁ決まるまでここに居ればいい、ルヴァイド様も許可してくれている」
今は落ち着いているようだし、少し戻るか
「じゃぁ僕は一旦報告に」
方向を変え入り口に背を向けたときだった
「まって!!」
足を止めた
まだ何かあったのだろうか?
「なんで?どうして?どうして私なんかの為にそんなに気にかけるの!?
そもそもどうして私を助けたの!?」
どうして?そんなの自分だってわからない
「どうして!?答えてっ!なんで!!私は助けてくれなんて言ってないわ!!
わからないっどうして!?どうしてよっ!!」
これが今の彼女の本音か
「・・・どうしてなんだろうな、君が突然僕の目の前に現れて
その時はただ助けなければとしか思わなくて・・・」
「私は死んだってかまわなかった!私に生きている資格なんてないのよ!」
その言葉で一気に頭に血が上る
「ふざけるな!!」
抑えなければ
抑えなければ
「君は命をなんだと思っている!」
けれど、この憤りを止める事はできなかった
「わかりきった様な事言わないで、いくら綺麗事言ったって、結局は偽善よ!」
綺麗事、偽善
その言葉でハッとなった
酷く悲しく、悲痛な悲鳴とも思える叫び
彼女の叫び
わかりきった事・・・か
自らの中で渦巻く感情
「まだ話していなかったが僕はいや、僕達は軍人だ」
話さなければ・・・
「先日もある少女を捕える為だけに村人全員を殺した・・・
無抵抗な人も、老人も病人も女も子供でさえも・・・」
鮮明に思い出す風景
逃げ惑う村人達
紅に燃える炎
飛び散る赫
ぐるぐると回る感情の渦
自分の手が震えていた・・・
これは、この感情はいった・・・
「結局逃げられてしまったが、その後君が現れたんだ、
だからどうしてと言われても答えようがない、
君の言うように自分の罪悪感からただ救われたいだけの偽善だったのかもしれない」
そう僕は両手を真っ赤に染め上げた咎人それでも―――
あの時、この血塗られた手でも誰かを救える、救いたい
確かにそう思った
彼女を助けた事で得た自己満足
だけど、それでも・・・
「君に何があったのかは僕はわからない。
だが今確かに言える事は僕はあの時君には死んでほしくない、
そう思ったからだ、それだけでは駄目なのかい?」
これが今の気持ち
この思いに偽りは無かった
言ったところで無駄かもしれない
けれど、これだけは誤解してほしくなかった
「それに・・・僕は君になんと言われようと助けた事に後悔はないよ」
そう、後悔なんてしない
沈黙が辺りを包む
しかしそれは意外な形で破られた
「うっ・・・ぅっ」
泣いてる?
「?」
そんなに恐かったのだろうか
「!」
いてもたってもいられなくなり、思わず中に入ってしまった
座り込み口を押さえている
「、大丈夫かい?」
目に涙を溜まらせ見上げてくる
けれどすぐにその顔からは大粒の涙が次々に零れ落ちる
「ひっく、うわぁぁあぁぁ」
どうすればいい?
まるで子供の様に泣かれても・・・
考える前に手が出てる、思わず抱きしめてした
避けられてもいい、けど今は・・・今は傍にいたい
一瞬泣き声が止まった、彼女も苦しかったのだろうか・・・
そう思いながら頭を撫でた
「うわぁあああぁぁあぁ」
そのあとはまた泣き出してしまった
もし、彼女を助けたことが罪になるのなら
僕はこの罪を償い続けよう
泣きじゃくるを抱きながら守りたい・・・
信じてもらうには時間が掛かると思うけれど・・・
彼女を守りたい、そう強く思った
彼は見つけた
暗闇の中で彷徨う翼を
差し出したその手に翼は舞い降りたった
その翼は彼にとって光であり
そしてその手は翼にとっても光であった
お互いがそれに気づくのはまだ少し先の話・・・
BACK![]()
NEXT
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆あとがき☆゜・*:.。.☆゜・*:.。.☆
えっと前回の話のイオスsideです。いかがでしたでしょうか?
イオスの心境はこんな感じでした。
次回予告→ヒロイン覚悟を決めます